
内田鋼一は、世界各地を放浪しながら窯業の村に暮らし、そのなかで土を知り、独自の表現を体得した異色の作家です。プリミティブさと繊細さが混在する作品は、大壺から急須まで幅広く、他のジャンルのアーティストからも高い評価を得ている注目の若手陶芸家です。2003年7月1日~10月15日開催のパラミタミュージアム開館記念展II・内田鋼一作品展が、初めての本格的な展覧会となりました。
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[ coexistence.It ties ] 2003年
入口壁画 緑青色の大小約300ピースの陶片が構築する「coexistence.It ties」は、内田鋼一が世界各地の陶芸の村を放浪した体験を通じて感じた、人種、民族、国のありようから、中心をつくらず「個」として存在することへの作家の意識が投影された作品です。 |
[ 壺の道 ] 2003年
パラミタガーデン エスニック感覚溢れる6個の壷がガーデンのエントランスに沿って並びます。それぞれが異なった趣を主張しながら、石造りの建物外壁と庭園との間の空間で、人工物と自然とを融和させる暖かさを演出しています。 |

1969年、愛知県生まれ。瀬戸窯業高校には、ラグビー特待生で入学し、その当時は陶芸への知識も興味も全くなかったといいます。卒業後、四日市の陶器工場で、植木鉢や土鍋の賃びき仕事をして、規格品を作るシビアさも体験しています。22歳で作家として独立しますが、トラック運転手で稼ぎながら、知人の窯を借りて制作するという苦心の独立でした。内田鋼一には「世界のなかでの自分」という意識が学生の当時からあり、西アフリカ、ヨーロッパ、インド、東南アジア、韓国などの窯業地の村に暮らしながら放浪の旅を続け、土を知り、自分の表現を体得していきました。